3回忌を迎えて 2020/09/29 (火)

 月日はあっという間に過ぎ去り、夫が亡くなってから2年が経ちました。夫は昔からお坊さんが苦手で、
無宗教を公言していたこともあり、3回忌だからと言って特別なことは何も執り行いません。
ただ、夫の好物だったシャインマスカットや桃などの他に、今が旬の美味しい果物をお供えしました。
それと季節の美しい生花を選び、花の美しさを愛でながら活けて飾りました。私は毎朝、夫の写真に向かい祈り、
必ず写真の笑顔を右手の人差し指で撫ぜてから、にっこり微笑みかけるのが習慣となっています。


 夫が急逝した直後は悲しくて苦しくて辛くて、夫が存在しない世界で生きていても虚しいと感じ「私も死にたい・・・」
とそんなことばかり考えていました。しかし、現在は、夫の姿は見えなくても、確かに私の心の奥深くに存在していて、
いつも見守られているような安心感に包まれていて、心がとても穏やかで平安になりました。


 私は、夫と一日の大半を共に過ごし、夫のあらゆる姿を見つめ続けることが出来たので、濃密な時間を共有出来て本当に幸せでした。
夫婦でいつも心を開いて率直に何でも語り合った日々、夫が仕事に対して常に誠実で真摯な姿勢で向き合っていたこと、
夫が趣味の世界に夢中になり心を開放し、瞳がキラキラと輝いて生き生きとした笑顔を浮かべていたこと、
重篤な病気をいくつも抱え病気と共生しながら「濃密な人生」にするという強い意志で生き抜き、いつ死んでも悔いのない
充実した人生を過ごしたこと・・・たくさんの思い出が駆け巡ります。


 夫は農家の長男で、幼い頃から両親が一生懸命働く姿を見て育ちました。東京の大学にも進学させてもらい、
農業の後継者とならずに司法試験に挑戦させてくれた寛大な両親を尊敬し、心から深く感謝していました。
両親への恩返しに、毎週末「親孝行」のプランを考えるのを楽しみにしていました。夫には弟が2人います。
兄弟仲がとてもよくて、お盆やお正月に実家に集まると、いつも幼い頃の面白エピソードの数々で盛り上がり、
話が尽きることがありませんでした。兄弟同士お互いに思い遣りがあり、気持ちの優しい兄弟です。
夫は温かな家庭で育った人なので、人に対する接し方や眼差しが温かく優しい人でした。
悩める人たちの心の奥深い部分をそっと優しく包み込むような、深い愛情と優しい心を持った人でした。


 夫と私は、ごく自然にお互いの瞳を見つめ合うことが、とても多かったように記憶しています。
お互いにあえて言葉を交わさなくても、心の奥底に相手の心がストレートに伝わって来るという感覚がよくありました。
私は直感がとても鋭いのですが、夫は心が澄み渡り清らかで、素直で正直で誠実な人だと強く感じていました。
さらにユーモアがあり、人の心を自然に和ませてくれる魅力的な人でした。私は夫に初めて会った時、当時大学生だった夫と、
すれ違いざまに、たった一言「こんばんは」と言葉を交わしたその瞬間、直感的に夫が大好きになりました。
夫が大好きという気持ちは、夫が急逝するまでずっと色褪せることはありませんでした。私が夫を大好きという気持ちは、
夫婦間の情愛よりももっと深い感情です。愛おしくてならない、絶対に失いたくない、と強く思える大切な存在でした。


 一時期、私は夫のことを「生き仏ちゃん」と呼んでいました。何度も死に直面し、苦しい治療に耐えながら仕事を続ける姿に
深く感銘を受けたからです。自然に「生き仏ちゃん」という言葉が思い浮かびました。夫に向かって手を合わせる仕草もよくしました。
今あらためて振り返ってみると、確かに私にとって夫は「生き仏ちゃん」であったのだと思います。どのような苦しみの中にあっても、
決して希望を失わず、ささやかな喜びを大きな楽しみとして、人生を楽しみながら懸命に生きることを実践した人でした。
私に苦しみの中どのように向き合い、どう生きるべきか教えてくれた大切な愛しい人です。


 夫のことを語り出したら、思い出が尽きることがありません。たくさんの思い出という宝物を残してくれたことに、
心からありがとうと言いたいです。心を尽くして夫のことを偲び思いを馳せることこそ、真実の供養になると信じています。
これからも私が生き続ける限り、私の心の中で生き続けて見守って下さい。これからも変わらずずっと大好きです。


 過去の夫の動画をyoutubeで見ることが出来ます。弁護士会の活動について説明しています。幼い頃から吃音に苦しんできたので、
テレビ出演することは大変勇気のいる大きな決断でした。夫が「うまく話せなくて笑われてもいいんだ」と一大決心をして、
テレビ出演しました。小さな紙に話す内容を小さな字でびっしり書いて、何回も何回も練習して暗記していたようです。
緊張しながらも一生懸命誠実に話す姿を見るたびに、「よく頑張ったね」と心の中で語り掛けています。
在りし日の夫の姿を、暫し偲んで頂ければ幸いです。
 https://www.youtube.com/watch?v=VcmkJOLJJ_Q