32.ピンピンコロリ 2019/07/08 (月)

 夫が、亡くなる直前まで読んでいた本は、漫画家の弘兼憲史さんが書かれた「弘兼流 ぼくのピンピンコロリ」でした。
夫は本を読む時は、いつもペンを握り締め大切な部分や共感した部分にラインを引きます。
本を開くと、まず前書きの「最期はきれいにこの世におさらばしたい。」にラインが引かれてあります。
「ピンピンコロリ」って何?とうタイトルのページでは、「元気に長生きし、最後は寝つかずにコロリと死ぬこと」にラインが引かれています。


 私たち夫婦は、若い頃からお互い重篤な病気と向き合ってきたので、日頃から「どんな最期になるのだろうか」、「どんな最期を迎えたいか」
について、これまでに何回も語り合ってきました。ふたりとも長患いするのは嫌だ、という考えで一致していました。
「どんな最期になるのか」については、夫がよく言っていたのは「俺は阿蘇で死にたい」と言っていました。
私が「山の中で亡くなると、捜索の人に迷惑を掛けますよ」と言うと、夫は「お前にだけは、メールで場所を知らせるから」と言って笑っていました。
私が「あなたはこれまで生きてきたように、あなたらしい死に方をすると思うよ」、「私に手を握られて、私に見守られて安心して亡くなると思うよ」
とよく話していました。実際、日頃話していた通りになりました。


 夫の最期の看取りは、あまりにも急なことだったので、私ひとりだけが看取りの場面に立ち合えました。
以前もブログに書きましたが、夫の温かな手を摩り握り締め、「もう頑張らなくていいよ」、「一生懸命生きたね」、「ありがとう」、
と夫の耳元に私の口を近づけて、大きな声をお別れを言いました。もしいつの日か、悲しいけれどお別れの時が来たなら、
そのような言葉掛けをしてお別れをしたいと、心の片隅で思っていたのかもしれません。
迷うことなく、そのような言葉が自然に思い浮かびました。


 「ピンピンコロリ」にしても、日頃から強く思い願っていれば、その通りになるのかもしれません。
誰もが思い通りには行かないでしょうが、夫は「思い」や「願い」がとても強い人だったから、
願い通りの最期を迎えられたのかもしれません。そんな気がしてなりません。