74.「音 楽」 2020/03/23 (月)

 アニメーション映画「音楽」は、漫画家・大橋裕之さんの「音楽と漫画」を原作としています。
楽器を触ったこともない不良学生たちが、突然、思いつきでバンドを組むことからスタートする物語です。
制作期間は約7年、作画枚数は約40,000枚、全て手描きし、岩井澤健治監督が自主制作した渾身の長編アニメーション映画です。


 映画終盤の野外フェスシーンを再現するために、実際にステージを組んでミュージシャンや観客を動員してライブを行い、
実写の動きをトレースする「ロトスコープ」という手法を採用しています。ライブシーンは、それまでの絵のタッチと大きく変化して、
臨場感や心地よい揺れや雰囲気が伝わって来て非常に効果的でした。言葉の微妙な間のとり方、簡素化されたキャラクター、
音楽の力の不思議な魅力に惹き込まれました。私は原作本も読んでませんし、映画の予備知識もないまま、
ただ映画上映後に岩井澤健治監督のトークショーが開催されるという理由だけで鑑賞しました。
映画がスタートすると、独特なテンポで展開される不思議な世界観にすっかり魅了されてしまいました。


 上映後の岩井澤健治監督のトークショーは、先日熊日新聞に「音楽」についての映画評を書かれていた、
FMKのきべとしおさんが司会をされました。きべとしおさんはデンキカンのご常連として有名ですが、
最多の映画鑑賞数を誇り知識が豊富なので、映画通の間では誰もが一目置く存在としてよく知られています。
きべとしおさんの核心を突いた名司会により、岩井澤健治監督から引き出される貴重なエピソードの数々は大変聞き応えがありました。
岩井澤健治監督は、にこやかで優しい雰囲気の控え目な印象の方ですが、上映する目途も立っていないアニメーションを、
ただひたすら黙々と7年間も描き続けた不屈の精神の持ち主です。今まで誰も観たことがない新しいものを生みだそうとする、
志の高さと精神力の強さを感じました。


 トークショー終了後2階フロアにおいて、岩井澤健治監督のサイン会と原画展及び販売会も開催され大盛況でした。
原作のファンなのでしょうか、大勢詰めかけた若い方々が、お気に入りの原画を何枚も手にして大変喜んでいました。
長崎次郎書店の店頭においても原画の作品展を開催していましたので、ショーウインドウ越しに興味深く鑑賞しました。