108.「岡本太郎の沖縄」 2019/07/08 (月)

 ドキュメンタリー映画「岡本太郎の沖縄」は、岡本太郎さんが1959年と1966年の2度に亘り沖縄を旅して、
日本人とは?自分自身とは?について探究した旅でした。


 映画は、写真集「岡本太郎の沖縄」の表紙の女性久高ノロさんについて、大部分の時間を割いて描かれています。
岡本太郎さんが、沖縄の旅で最も心惹かれ魅了されたのは、久高ノロさんとの出会いでしょう。
久高ノロさんは、小さな島のシャーマン。高齢ですが、凛とした佇まいで厳しい顔つきをしています。
ノロさんの瞳は、人の心の奥底を見透かすような澄んだ瞳をしています。
マスコミを一切拒絶していた厳格なノロさんですが、岡本太郎さんの魂と深く激しく共鳴するものがあったからなのでしょうか、
島の神聖な神事(イザイホー)の撮影を唯一許可しています。
当時の貴重な神事の映像を観ることが出来ただけでも、この映画を観る価値は十分にあります。


 この映画は、昔の沖縄のありのままの姿が映し出されています。
豊かな自然、美しい風景、貧しいけれど笑顔に満ちたおおらかな暮らしぶり。
現在の沖縄の街並みも映し出され対比すると、何故かしら昔の沖縄の暮らしの方が豊かさを感じます。
人の表情も生き生きとして、輝いているように感じられて魅力的でした。
「知らないのに懐かしい、命の優しさを感じる」という岡本太郎さんの言葉に共感を覚えます。


 岡本太郎のパートナーの岡本敏子さんは、亡くなる前におひとりで、もう一度久高ノロさんのご自宅を再訪したそうです。
それだけ岡本太郎さんと久高ノロさんとの思い出が深く、特別な感慨があったのでしょう。


 映画のナレーションは、俳優の井浦新さんです。
映像や写真に迫力があり力強いので、静かな語り口にほっと出来ました。