88.町田くんの世界 2019/06/09 (日)

 今年上半期、外国映画は同性愛やドラッグをテーマにした作品が多くてうんざりしていました。
深く感動できるような作品になかなか出会えないので、今年は映画の不作の年なのかもしれないと思ったりしていました。


 そんな時観たのが映画「町田くんの世界」です。
少女漫画が原作で主人公が高校生なので、安直な高校生の恋のお話しだったら嫌だなと多少不安はありました。
でも、脚本と監督が石井裕也さんだったので、ありきたりの青春映画を作るはずがないと信じて観に行きました。


 主人公の町田くんの世界観が素晴らしいです。
町田くんのことを、ある人は「劇的にいい人」、またある人は「キリスト」と呼びます。
町田くんは、いつも何故か人のことを思い遣って行動します。
何故なのか自分でも分かりませんが、気がつくと人のために行動しています。
その行動は、ちょっとクマのプーさんにも似ています。
町田くんの不器用だけど、人のために一生懸命に尽くす一途な姿に、私は心を強く打たれました。
何度も感動して泣きそうになる気持ちを、ぐっと堪えながら観ました。


 キャスティングも絶妙でした。
思い掛けない人たちが町田くんの同級生や上級生、下級生に扮しています。
安定感のある高畑充希さんや太賀さん、そして前田敦子さんのキャラクターが笑えました。
私は、これまで前田敦子さんの演技を観て、一度も良いと思ったことがありませんでした。
今回は、初めて「はまり役」だと思いました。低音、無表情、突拍子もない言葉・・・。
演技していないように感じさせるほどピッタリの役柄でした。


 随所にほのぼのした笑いが散りばめられていました。
また、青春時代の甘酸っぱくほろ苦い純粋な恋を、真正面から描いています。
ラストシーンは、メリーポピンズを彷彿させるような奇想天外なシーンが展開され、
幸せな気分が満ち溢れる、大ハッピーエンドとなります。
エンディングの平井堅さんの歌「いてもたっても」は、町田くんの世界観をテンポよくうまく表現していました。
石井裕也監督が、さらにワンステップ進化したのを感じました。


 先日観た「長いお別れ」も良かったですが、「町田くんの世界」が私の今年上半期のベストワンです。
町田くんみたいな人が世の中にいっぱいいたらいいなぁ・・・と心から思いました。