19・映画への旅 「喜望峰の風に乗せて」 2019/02/09 (土)

 「喜望峰の風に乗せて」は、イギリスの名優コリン・ファース主演による実話をもとに描いた海洋冒険ドラマです。
1968年のイギリス。ヨットによる単独無寄港世界一周を競うレースが開催されます。
経験豊富な熟練セーラーたちが参加する中、航海計器会社を経営するアマチュアセーラーの主人公が、社運を賭けて無謀にも挑戦することになります。
スポンサーも現われ、家族や周囲からも期待され、準備不足なのを承知のうえ大きな不安を感じつつも止む無く出航します。


 たったひとりで大海原へと漕ぎ出すと、すぐに厳しく過酷な自然と対峙することとなり、毎日辛い孤独感に襲われます。
そしてある日、救いようのない大きな過ちを侵してしまうのです。
主人公は罪の意識から逃れることが出来なくなり苦悩するというストーリーでした。


 最初の動機は、会社の宣伝になるから、賞金が出るから、家族を喜ばせたいから、名誉のために、・・・などでした。
しかし、ひとたび船出したら誰に頼ることも出来ず、悪天候とたったひとりで悪戦苦闘する日々が続き、
逃げ出したくても逃げ出すことも出来ないのです。人間の甘い欲など、すぐに吹き飛んで行ってしまうほどの過酷さなのです。
次第に葛藤や焦燥感、孤独感が益して行くのが痛いほど伝わって来ます。
精神的に追い詰められて、風貌も表情も精彩がなく、航海前の溌溂とした面影はもうどこにもなく、まるで別人のようです。


 私は、以前からコリン・ファースという俳優が大好きです。
滑舌がよく知性を感じさせ、どんな役柄でも巧みに演じます。柔らかく少し高めの声質も耳に心地よく響きます。
先日観た「メリーポピンズ・リターンズ」では珍しく悪役を演じていましたが、嫌味な悪い人物さえも見事に演じていました。
今回の映画は人間の内面に深く向き合う作品ですから、やはりコリン・ファースの確かな演技力が光ります。
風貌もどんどん痩せ細ってやつれていましたし、苦悶の表情にも深みが感じられました。
コリン・ファースのファンとしては、コリン・ファースの演技を満足行くまで堪能出来る作品となっていました。