84.「今ここにある危機とぼくの好感度について」 2021/05/04 (火)

 4月からスタートした春ドラマ。今期のドラマは個性の違いが際立っていますが、特に秀逸なのがNHK土曜ドラマ
「今ここにある危機とぼくの好感度について」です。ドラマの内容は、名門大学の広報マンに次々と降りかかる
不祥事対応を描くブラックコメディー。特に注目している点は、渡辺あやさんが脚本を担当されていることです。
脚本家・渡辺あやさんは結婚後ドイツに5年間在住し、その後島根県在住。NHK朝ドラ「カーネーション」や、
映画「ジョゼと虎と魚たち」、「メゾン・ド・ヒミコ」など秀作揃いの脚本家として有名です。


 「今ここにある危機とぼくの好感度について」は、大学の危機管理を舞台にした風刺コメディーです。
俳優陣は癖の強い性格俳優がズラリと名を連ねる中、主演は好感度の高い松坂桃李さん。自分の本音を隠して、
その場しのぎの優柔不断な大学の広報担当者を演じています。大学の研究室の内部告発を実名で行う勇気ある
ヒロイン役を、鈴木杏さんが演じています。ドラマに登場する人物の中で唯一、真摯に真実を探求しようとする
ヒロインの言葉は、まるで鋭い刃のようにグサリと胸に突き刺さり痛みます。


 主演の松坂桃李さんと、若手ながら芸歴が長く実力派の鈴木杏さんをはじめとして、渡辺いっけいさん、岩松了さん、
國村隼さん、池田成志さん、松重豊さん、安藤玉恵さん・・・など、よくぞここまで演技派の個性的な俳優陣を、
適材適所に取り揃えたものだと感心しました。脚本家の渡辺あやさんが、それぞれの俳優さんに「あて書き」したのでは
ないかと思えるほど、登場人物の人物像が実に見事に描かれています。映画で撮影してもいいくらいのレベルの、
何とも贅沢で内容の濃いドラマです。見応えがあり、お薦めです。