33.「さよならテレビ」 2020/02/09 (日)

 「さよならテレビ」は、東海テレビ局内の報道部を取材したドキュメンタリー映画です。
東海テレビというと、これまでにも数々の優れたドキュメンタリー映画を制作してきたことで有名です。
「さよならテレビ」では、視聴率やスポンサーに振り回される、制作現場のありのままの姿が映し出されています。


 映画を観ながら、熊本でも夕方の報道番組の内容が、すっかり様変わりしていることが気に懸かりました。
グルメ情報や旅情報などを特集することが多くなり、報道番組というよりも情報番組へと変化してきています。
メインキャスターも、アイドルのような甘いマスクの方を起用されている局もあります。
すべてにおいて、視聴率やスポンサーが大きく影響しているのでしょう。


 そういえば、最近の若者は新聞を読まないし、テレビを観ない、という話をよく聞きます。
私も、テレビは観たい番組だけを厳選し録画し、録画した番組だけを鑑賞しています。
録画した番組を観る時は、勿論コマーシャルをカットしながら鑑賞しています。
このようなテレビの鑑賞法に慣れてしまうと、時間を有効に活用するために、
リアルタイムでのテレビ鑑賞を殆んどしなくなります。


 「さよならテレビ」を観ながら、昔は最も身近な娯楽であったテレビですが、
未来は衰退の一途を辿る運命なのかもしれない、との不安な思いを強くしました。
映画では、過去に重大な放送事故を経験したキャスター(1名)と、
不安定な立場にある制作現場の契約社員(2名)の姿を中心に追っていました。


 ベテランの制作契約社員は、ジャーナリストとして本音では意義のある作品制作をしたいものの、
視聴率こそ最重要なテレビ局の意向に従って、グルメ情報番組を制作している姿が何とも切なかったです。
豊かな生活を維持するためには致し方ない、とどこか冷めた感じで割り切っている様子でした。
本当に遣りたいことが出来ない、現実の厳しさにジレンマを感じました。


 私は、視聴率のことを常に言い続けていた報道部の上層部の方々の考えが取材出来たなら、
もっと内容が濃くて深みのある、優れたドキュメンタリー作品になっていたような気がしました。
その点が、非常に残念に思いました。