42.「ミッドナイト・ファミリー」 2021/03/05 (金)

 ドキュメンタリー映画「ミッドナイト・ファミリー」は、4年の歳月をかけて完成した優れたドキュメンタリー映画です。
メキシコは、人口900万人に対して行政の救急車は45台しかないので、救急車の闇ビジネスが横行しています。
専門訓練も受けず、認可も得ていない、営利目的の民間救急隊が競い合って緊急患者を搬送する毎日です。


 闇ビジネスを行い、日銭を稼ぎ生計を遣り繰りしている、ある家族に密着した臨場感溢れるドキュメンター映画です。
日本では考えられないようなことが次々に起こるので、スクリーンに釘付けになりました。何の資格もない一般人(青年)が、
重篤な状態の人に何ら躊躇う様子もなく、平然と医療行為を行う様子が映し出されるのはショックでした。
また、事故現場に向かう時は、同業者よりも少しでも早く到着し、高額な収入を得たいために熾烈な競争が展開されます。


 私は、これまでに家族全員で6回、救急車のお世話になったことがあったので、複雑な思いを抱きながら鑑賞しました。
映画を観ることで、メキシコの医療事情や行政の杜撰さや問題点が、くっきりと浮かび上がってきます。
闇ビジネスを行っている家族の父親は、人の生死に関わる仕事であるため、かなり精神を病んでいるように見えました。
「民間救急車」に頼らざるを得ないメキシコ。社会情勢が悲惨な状況なのは容易に想像できます。


 救急車で病人を搬送し、病人や家族から費用の支払いを拒否されることも多々あること・・・。
命が助かったのだからよかったと気持ちを切り替えて、再び救急車に乗り込む姿が唯一の救いでした。
今回の映画の上映を契機として、メキシコから違法な「民間救急車」が必要とされない、
健全な社会となりますようにと願わずにはいられません。