3.「男はつらいよ お帰り 寅さん」 2020/01/03 (金)

 国民的人気映画シリーズ「男はつらいよ」。
第1作目の公開から50周年を記念する、第50作目となる最新作をデンキカンで鑑賞しました。
夫は、昔から寅さんの映画が大好きでした。東京に住んでいた頃、ふたりでお正月に熊本に帰省すると、
必ずデンキカンで寅さんを観ていました。その頃のことを懐かしみながら、デンキカンで鑑賞しました。


 新作では、寅さんの甥っ子の回想シーンの中に、溢れんばかりに寅さんや美しいマドンナ達が次々に登場します。
マドンナ達は時代を色濃く映し出し、その時代に最も輝いて美しかった頃の女優さんばかりです。
また、寅さんの甥っ子の高校時代の甘酸っぱい初恋と、40代になってから偶然再会した、
大人の男女の揺れる複雑な恋心なども、細やかに描かれていて切なくなります。


 リアルタイムで観ていた時には本当には分かっていなかった、寅さんとさくらさんの深い情愛、
親代わりのおいちゃんとおばちゃんの優しく温かい思い遣りの心、寅さんのことをいつも温かく迎えてくれる人情の厚い柴又の人たち。
自由気ままな寅さんには帰る居場所がちゃんとあったから、実はとっても幸せ者だったということがよく分かりました。


 映画のクライマックスでは、渥美清さんの豊かな表情の変化や、独特な語り口などが満喫出来る趣向となっています。
歴代の名場面シーンが見事に編集されていて深い感動を呼び、観ていて堪らない気持ちになりました。
私の心の中に寅さんがいっぱいに溢れ出して、気がつくと自然に涙が流れていました。


 山田洋次監督の寅さんに対する、並々ならぬ深い愛情が伝わって来る映画でした。
寅さんの全作品を見直して、編集する作業はさぞや大変なご苦労が多かったことでしょう。
また、新たな映像と違和感なく回想シーンを融合するという手腕は、本当にお見事でした。
ご高齢の山田洋次監督が、精魂込めて制作された映画だとしみじみ感じました。


 映画を観ながら、もし今も渥美清さんがお元気だったなら・・・とつい考えてしまいました。
唯一無二の個性を持った稀有な俳優さんだったのだなぁ、とあらためて存在の大きさを思い知りました。