231.「スパイの妻」 2020/10/18 (日)

 昨晩(17日)、NHK BSプレミアムで「世界のクロサワ『スパイの妻』を語る」という番組の放送がありました。
ベネチア国際映画祭において、日本人としては17年ぶりとなる「銀獅子賞」(監督賞)を受賞した黒沢清監督に、
ジャーナリストの国谷裕子さんがロングインタビューをするという番組でした。
私は映画「スパイの妻」をまだ鑑賞していなかったので、鑑賞前に事前に下調べするような感覚で興味深く拝見しました。
国谷裕子さんが鋭い質問を投げ掛け黒澤監督が一瞬考えこんだり、的確な感想を述べて黒澤監督を感動させていました。


 映画「スパイの妻」は、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した直後の映画公開という大きな話題性もあり、
デンキカンでは1日4回の上映はすべて大盛況です。映画の内容は、太平洋戦争直前、国家機密を知ってしまった貿易商の男性が、
自分の信念に従い正義を必死に貫こうとする姿と、夫を心から深く愛する妻の揺れる心と決死の行動を描いています。
心がヒリヒリするような愛と葛藤を描いた、上質なサスペンス映画に仕上がっています。


 黒澤清監督の映画のスタイルには必ず約束事があります。効果的な「光と影と風」、そして「長回しの手法」。
今回の作品でも、1カットが5分間という重要なシーンがありました。演じる俳優も、映画を鑑賞している観客にも緊張感が漲ります。
主役を演じた蒼井優さんは、往年の大女優・原節子さんを偲ばせるような話し方や身のこなし方をされていました。
後日あるインタビュにおいて、蒼井優さんは名女優・田中絹代さんの演技を参考にしたと述べていました。
役柄を徹底的に創り込んで熱演していて、黒澤清監督の独特な世界観を見事に体現していました。
印象的なラストシーンの切なさが胸に染み渡り、深い余韻を残す作品となっていました。