197.「海辺の映画館-キネマの玉手箱」 2020/08/30 (日)

 今年4月に逝去された大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館-キネマの玉手箱」は、20年振りに「尾道」へ帰ってきて撮影した作品です。
余命宣告を受け治療を続けながら撮影した映画は、大林組のお馴染みの豪華な俳優陣が総出演しています。上映時間179分。


 大林監督が、次世代へ向けて託す強烈なメッセージが込められている作品です。大林監督ならではの独特な映像世界が繰り広げられ、
戦争の歴史を辿りながら、無声映・トーキー・アクション・ミュージカルと様々な映画表現で展開していくパワフルな作品です。
公私に亘り61年間を共にした、大林監督の奥様の大林恭子プロデューサーによりますと、大林監督はきっと体は辛かったでしょうが、
全く妥協することがなく、映画創りへの執念の凄まじさを感じたと語っていました。


 大林監督の映画人生の集大成といえる作品からは、戦争の悲惨さと平和を希求する心が、痛いほど強く伝わってきました。
映画の中には、大林監督の温もりのある語り口や、夢中でピアノを弾く後ろ姿のシーンも盛り込まれています。
意識的に自分自身の姿を、映像に刻み付けたのだなと思うと、感慨深い思いがしました。
ご自宅の庭に咲く、満開の桜を眺めた夜に旅立たれた大林監督。ご冥福を心よりお祈り致します。