267.ハートネット 2017/12/20 (水)

 NHKハートネットTV で放送されました「ある青年の死」を観ました。
番組の内容は、千葉県の精神科病院に入院していた青年が「保護室」に隔離され、頚椎を骨折するという事故が発生しました。
その事故を契機として亡くなったという事件を追ったドキュメンタリーです。


 入院中の青年の様子が、保護室に設置されていたモニターカメラに映像が残されていました。
その映像には、2名の看護師に顔面を蹴られ暴行されている、無抵抗の青年の姿が映っていました。
青年は顔面を蹴られたことが原因で、頚椎骨折につながったと見られています(2012年)。
青年は、別の病院に搬送されましたが寝たきりとなり、36歳(2014年)という若さで亡くなりました。


 保護室のモニターカメラに残っていた映像には、男性看護師が2名入室して、青年をベッドから床に荒っぽく放り投げます。
そして、青年のオムツ交換をするのと同時進行で、横になったままの状態の青年の口に、流動食を短時間で一気に流し込みます。
この一連の作業は、わずか10分足らずでした。青年は身体を折り曲げて、怯えているように見えました。
私は、看護師の手慣れた一連の作業の様子に、強いショックを受けました。
看護師は手早く短時間で作業を済ませようとしていて、患者を平気で虐待して全く人間扱いしていませんでした。
青年の気持ちを思うと、胸が痛くて苦しくなりました。


 青年は、大学生の時、突然、引きこもりがちになり精神を病み、「うつ病」と診断されます。
その後、薬の重篤な副作用に苦しみ、精神状態は悪化して行きます。
幼少期から交流を続けていた親友は、青年の風貌や言動が変化したことに戸惑います。
しかし、じっくり話をしてみると、違う人間になったわけではなく「あぁ、彼なんだなぁ」と感じたと言います。


 青年の家族は、青年を誰も知らない土地で生活させようと配慮します。
しかし、かえってそのことが青年の孤立を深めてしまいます。
家族は苦しみの最中に最善を尽くそうと選択したことが、今振り返ると大きな誤りだったと、深く後悔して涙を流すのでした。


 ひとりの青年の死に向き合うことで、精神医療の実態や薬の問題点、周囲の人の関わり方など多くの問題点が浮き彫りになりました。
番組の最後に、青年が「僕の人生、何でこんなふうになっちゃんだろう・・・」と呟いた言葉が紹介されました。
この青年は適切な治療を受け、周囲の温かい理解と支援があったなら、もっと違った人生を歩めたのではないかと思えてなりません。
別世界の他人事だと無関心でいることは、また再び同じような事件が起きる可能性があります。
番組を通じて、事件について向き合い考えてみることが大切だと教えられました。